スペイン代表の凋落と宇佐美貴史の憂鬱

サッカースペイン代表。今大会でも優勝候補と言われながら、なかなか攻撃の形を作ることができず、第3戦ではモロッコ相手になんとかギリギリ引き分けに持ち込んで予選突破を決めました。


今大会のスペイン代表も選手のクオリティという面では優勝した2010年に劣っていないです。コスタ/イスコ/シルバ/イニエスタ/ブスケツ/コケ。みなそれぞれ強豪クラブの中心選手として活躍している選手です。それなのになぜ前回大会ではグループリーグで敗退し、今大会でもなかなか攻撃の形が作れないのでしょうか。


それは端的に言って選手タイプの組み合わせが最悪だからであり、特にコスタをワントップにおいていることです。


ポゼッションサッカーにおいてはワントップの選手が最も重要であるとは先日も書きましたが、ワントップの選手がフリーランニングによって相手のDFラインを下げたり左右に揺さぶり、DFラインと中盤の間に2列目3列目の選手が飛び込んでいける少しのスペースを作り出すことが出来るか否かが攻撃ではとても重要です。


今大会はコスタ、イスコ、シルバとボールサイドに寄ってきてしまう選手で前線を固めているため、攻撃において最も重要と言われるバイタルエリアにスペースがなくなり、相手のゴール前に蓋がされている状態になってしまい、攻撃が手詰まりになっています。


優勝した2010年も初戦で敗戦してしまっているのですが、2戦目以降はビジャ、ペドロ、へセスナバスといった前線で縦や横に幅を作れる選手を重用することによって優勝まで上り詰めました。親善試合や欧州予選という長丁場では今のメンバーでもそれなりに攻撃できるのですが、相手チームも死力を尽くして向かってくるワールドカップという短期決戦の舞台では、そういったスペースを作る動きが出来る選手がいないとなかなかシュートを撃つことが出来ません。


なんとかグループリーグを勝ち抜いたスペイン代表がトーナメントでどのようにこの問題を解決して変貌を遂げるかに注目しています。なんとか立ち直って魅惑のサッカーを繰り広げて欲しい。



さて、我らが日本代表で天才と呼ばれ続けて活躍できない宇佐美貴史。今大会でも好調の日本代表にあってなかなか波に乗れません。とにかく攻撃時のポジショニングが絶望的に悪いのです。


宇佐美は先日テレビのインタビューで「スペイン代表の2列目の選手の動きが最高のお手本になってる」とか言ってやがりました。どうもスペイン代表が機能不全に陥っている原因となっているシルバやイスコの動きを参考にしているようです。確かに、言われてみればガーナ戦スイス戦とどんどんボールサイドに近寄っていくばかりでボールから逃げて裏をつくシーンは皆無でした。なるほど。


宇佐美貴史の理想のプレーは置いておいて、今の日本代表では右サイドの原口が守備に追われているので、左サイドの選手はワーカーとして直接得点に絡まないといけません。したがって宇佐美が参考にすべきはシルバやイスコではなく、2010年にスペインを優勝へと導いたペドロやビジャやナバスなのです。


ハードワークを繰り返している乾のバックアップが宇佐美しかいないので、勝ち進めば宇佐美の存在感は今後大きくなっていきます。その時に、乾に負けないくらい一皮むけたプレーを披露できるか。宇佐美貴史の覚醒も楽しみにしてます。



※なお、諸説あります