作曲のしかた(僕編)

8月はひたすら曲を作っていたのでやってることをメモしておこうと思いました。

作曲の仕方とググってみてもトニックコードがうんちゃらこうちゃらと最初からよく分からんくてお手上げになってしまうと思うので、僕は昔から作曲って何かと何かを組み合わせるプラモデルみたいと思ってるので、そういう方向性での作り方で書いてみます。

対象はポップスであくまでも我流です。実は正しい何かがあるのかもしれません。



① 作る曲のイメージを定める

僕が思うにこれが最も重要で、勝敗(?)は一番初めに決まるのです。どんな曲を作るか曲の全体像を漠然とイメージします。

既存曲をイメージするのが基本ですが、ここでのイメージが鮮明すぎると最終的に丸パクりみたいな曲が出来上がってしまうので抽象的な状態にとどめておくのがいいです。といっても難しいのですが、僕の場合はここであの曲とあの曲とあの曲とを足して3で割ってみよう的な感じにすることで抽象化することが多いです。

あるいは、お風呂に入っている時に突然こんな曲いいかも!と湧いてくることもあります。

まあ、とにかく何かしらの目標を設定します。それがスタート。


ここではとりあえずコネクトみたいな曲を作ろうということにします。


② 目標を分析/分解する

①で決めた目標のような曲を作るためにはどうするか、目標を分析して特徴を調べます。最低限の耳コピスキルが必要です。

たとえば一番わかりやすいのはテンポですね。バラードだったらBPM80~100くらい、ダンス系なら120~150くらい、ハイテンポなら180~200とか。まあテンポは既存曲を丸パクリしてもOKなポイントです。

他に大きな特徴になりやすいのがメロディ/コード/リズム/音色です。ということで、まどか☆マギカのOPを例にとって特徴に分解してみます。


コネクトはどんな特徴があるでしょうか。サビをざっくりみてみます。

  • テンポは170くらい。
  • コード進行は「B/C#/A#m/D#m」が基本になっています。シャープとか出てくるとよく分からんのでキーを上や下にずらして正規化します。すると「F/G/Em/Am」でシャープがなくなります。「F/G/Em/Am」はJpopにめっちゃ出てきて王道進行とか言われてるものです。分解したことでコネクトも王道進行を使っていることが分かりました。
  • メロディはコードとのハーモニーを見てみます。サビの第一音目「目覚めたこ」の「こ」の部分ですね。この音はA#(ラ#)になってます。最初の和音がBなので、コードBの上にボーカルがA#で入ることで、全体のハーモニーがBメジャー7thという和音になっています。特にボーカルは一番目立つ音なので、メジャー7th(3和音+ルートの半音下のコード)感が強調されています。
  • 音色は1音1音よく聴くと、ドラムベースギターのロックスタイルにストリングスとピアノを入れた構成が基本になっています。
  • リズムも基本的な8ビートです。


はい、とりあえずざっくり特徴分析しました。まとめると、

  • テンポ170くらい。
  • コード進行はF/G/Em/Am。
  • メロディは第1音がメジャー7thなので、コードがF(ファ)だからE(ミ)から始める。
  • 音色はドラムベースギターストリングスピアノ。
  • 8ビート。

です。逆に言えば、この特徴を制約にして作ると、コネクトみたいな曲が出来るということです。ここに挙げた以外にも、まだまだ他にも特徴がひそんでいるので、可能な限りコネクトを分解して色々な特徴をあぶり出していきます。特徴がたくさん分かっているほど、色々とアレンジすることが出来るようになります。



DAWを開く

これ超重要です。重い腰を上げてこれが達成できればもう曲は出来たようなものです。オケまで考えるのであれば音符を入力して音を出すシーケンスソフトはマストだと思います。頭の中で全部決めてたら頭がおかしくなりますし、実際鳴らしてみないと分からないことも多いです。



④ 作り始める

DAWを開いたら曲を作り始めます。手を動かして音符を入力しさえすれば何かしら出来るのが音楽のいいところ。

何から入力していくかはなかなか場合によって分かれるところです。最近はリズム(バスドラム)から入力していくことが多いです。だいたい以下の感じが多いですね。

  1. サビ全体のバスドラムを入力する。
  2. ピアノとか聴きやすい音色でサビ全体のコード進行を入力する。コネクトのF/G/Em/Amはみんなやってるのでそのまま入力しちゃっても無問題。4回繰り返すだけで立派な曲。
  3. メロディを入力する。コードを聴きながら鼻歌で作ってみるとか適当に楽器を弾いてみるとか。コネクトにするためには、最初のコードがFだと第一音がE(ミ)縛りですが、偶然の要素も大切なので、良いメロディが出来たらこの縛りはあっさり却下しちゃっても問題ないです。


これですごい簡素ですがリズムコードメロディが鳴っている状態になりました。個人的にはこの状態で自分で聴いていい感じになってないと、ここから先に進んでもきびしいかなと思います。



以下は順不同。ノリで作りたいとこから作ってきます。


残りのセクションも作る

サビの基本形が出来たのでAメロとかBメロとかも作ってきます。作り方はサビと同じです。ただ、サビと同じ特徴を使ってしまうと曲のメリハリがなくなってしまうので、別の特徴をどこからか持ってきて使います。なのでたくさんの曲を分解して、特徴をたくさん知ってると色々な曲を作れます。知ってる特徴のことを別の言い方で「引き出し」とよく言いますね。



完成

ここはエンジニアリングな要素が大きく技術が求められます。良くしようと思ったら際限なく難しいですが、基本的な音色は決まっているのでとにかく聴きながら頑張って入力していきます。これももう何度もやって色々なパターンを習得するしかないですね。まあ何はともあれ、ギターとベースとドラムとストリングスとピアノを入力すればきっとコネクトみたいになるはずです。

あとハーモニーも大事で、たとえば同じ音域のドとレが同時になっていると不協和音でごちゃーっとする(それを狙う時もある)ので、特にボーカルとは2音以上離してボーカルとオケとが綺麗にハーモニーするようにするとわりと簡単に良い感じになります。


まとめ

ここまでやればコネクトみたいな曲がだいたい出来上がってるはずです!全体が出来たら修正調整修正調整を1か月くらい暇な時に繰り返して、完成です。

といっても、コネクトみたいな曲はコネクトみたいな曲にしかならないので、色々とアレンジする必要があります。リズムを変えてみるとかメロディを変えてみるとか、コネクトから特徴をいくつか差し替えることでオリジナル曲っぽくなってきます。


作曲の練習的なところでは、②の分析分解を色々な曲でたくさんやって引き出しを増やすのがとても重要だと思います。引き出しが増えてくると①の段階でのレパートリーが増えて、特徴ベースで考える事が出来ます。あのリズムにあのコード進行使ってみようとかという感じで。

よく、曲する人が「音楽が音符に聴こえて純粋に楽しめない」と言ってたりしますが、それはこの②の作業が癖になっていて自動的に始まっちゃうからでしょうね。でもなんか「音楽が音符に聴こえて~」とか言うとかっこいい感じがするのでいいんじゃないでしょうか!