説得のコミュニケーション

今日も心穏やかに罵り合いのインターネットを眺めて過ごしているのですが、最近はなんとなくこの罵り合いの構造の輪郭が見えてきたような気がしないでもないです。以前からSNSの「いいね」システムに問題があるんじゃないかとぼんやり思っていたのですが、その理由が少し説明出来るようになってきました。


「いいね」システムがあるSNSでは、発信に対する定量的な評価基準が「いいね数」になります。その場合、あらゆる発言は「いいね」をくれる人に向けて行うのが最も合理的な判断ということになります。つまり、SNSというのは「いいねをくれる人=意見が近い人」に向けて発信を行わせる強制力を持った場であると考えられます。


そんなSNSという場の中で自分達とは違う意見に出会った場合、人はどう振る舞うのか。言い換えればどう振る舞えば「いいね」がたくさんもらえるのか。それは簡単で、仲間たちに向けて「あいつは間違ってる」という事なのです。


僕は坂上さん好きなのでこんなことに出して申し訳ないのですがパッと思いつくのがこれなので。


「平沢氏には失望した。」
LGBTの権利は大切だよと訴えたいとして、平沢さん(およびその支持者)がこのツイートを見たとしてももうこの書き出しだけで話を聞く気は一切なくなるのは明白です。人に話を聞いてもらうには、それなりの礼儀とか大切ですよ。じゃあなぜこんなツイートになるのか。それは仲間に向けて発信しているからです。LGBTの権利を制限したい人達をなんとかしたいのに彼らのことなんか二の次で、もうとっくにそんなことは分かっている仲間たちに向けて発信しているのです。


また、ツイッターだとクソリプのように仲間ではなく相手に直接意見を言ってることもありますが、けっきょくあれも凸とよばれる内向きのパフォーマンスで、最終的には「ブロックされたwww」とかいって「いいねいいね」みたいな話なのです。これは明らかにディスコミュニケーションです。このようなディスコミュニケーションの積み重ねでクラスター間の分断とクラスター内の団結が高まっていき、罵り合いのインターネットが出来上がってると思っています。

※ちなみに僕の観測ではクソリプには「外部に対するクソリプ」と「内部の人が期待する行動を取らなかった時のクソリプ」の2種類があり、凸は前者。後者ははじめのうちは対話形式だが、炎上が可視化されていくにつれてただのクソリプだらけになる。


この状況はツイッター社やはてな社などプラットフォーム側からしか止めることは出来ないと思います。だってそういう風に出来ているのだから、ユーザーには抗えない。


ではどういうプラットフォームにすればいいか。キーワードは「説得」だと最近は思ってます。「LGBTの権利を制限しようとしている人達をなんとかしたい」のであれば「LGBTの権利を制限しようとしている人達」を説得する方向で発信するべきで、その強制力をプラットフォーム側でなんとか設計出来ないものなぁって思います。説得する、相手とコミュニケーションをとろうとするってやっぱり大切で、罵るなんてもってのほかで、失礼があってはいけないし、相手の話も聞いてあげないといけない。


そんな感じでクソリプ進化バージョンみたいなのを設計する必要があるのではないかと思うわけです。それもただ機能として用意するだけではダメで、それを使うと女の子にモテモテにならざるを得ないくらいの強い強制力が求められます。技術的には大したことはないはずなので何かアイデアがあればですね。


ちょっとあまりよく分かってないのですが、宇野さんの「遅いインターネット計画」なんかは上述したようなもの重なるところがあるのかもしれません。


今日はもう遅いので、おやすみなさい。