【感想】1日で学び直す哲学 / 甲田 純生

何もかもを1日で学び直したい。そんな現代人にぴったりな本(?)


何かを学ぶ時は歴史から入るのがいいと思う。特に哲学は積み重ねの議論なので、歴史を抑えてからでないと文脈が分からなかったりする。もちろん「~の使い方」みたいなスキル習得系の勉強だと歴史は必要ないとは思うけど、それにしたってそのスキルが出来た歴史や背景を抑えておくと抽象化に役に立つと思う。


この本は哲学史において重要と思える哲学者の数を絞ることによって、浅すぎず狭すぎずな感じで上手くまとまってる本だなと思った。ただ当然のことながら人を絞っている分だけ網羅性は低い。タイトルの「学ぶ」じゃなくて「学び直す」というところが肝で、一通り他の何かで哲学史をざっとさらった後でこれを読むともう少し深く掘り下げられてすごくいいんじゃないかと思う。


この本でも古代ギリシアから始まるのだけど、普通はソクラテスタレスあたりから始まるところ、ピタゴラスから開始するのが面白い。ピタゴラスが宗教団体の親分だったとか知らなかったw


ソクラテス/プラトン/アリストテレスにもずいぶんとページを割いている。西洋哲学はやっぱりこの3人は外せない。


中世哲学はばっさりカットされてる。哲学の歴史が語られる時って、だいたい紀元前300年のアリストテレスから17世紀のデカルトに一気に飛ぶ。2000年くらい一気にすっとばす豪快さがいい。2000年だぞ2000年。この間の哲学は基本ずっとキリスト教か、ルネサンス以降は古代ギリシア哲学について考えてたので現代となっては重要度が低いようだ。


近代哲学ではデカルト/カント/ヘーゲル/ハイデガーを掘り下げている。これらの有名人に混ざってフランス現代思想バタイユとか出てくるのは著者の好みだろうか。


という感じで、この本は主要な哲学者10人くらいに焦点を当てて哲学史を振り返っている。浅すぎず狭すぎず、一度さらった哲学史をもう1周学び直すには良い本だと思う。