【感想】日本再興戦略 / 落合陽一

『耳で聴かない音楽会』を知って落合陽一さんにとても興味が湧いている今日この頃。著書もいくつか読んでみようと思い、まずは「日本再興戦略」を読んでみた。

日本再興戦略 (NewsPicks Book)

日本再興戦略 (NewsPicks Book)


この本っていわゆる左派の人達からけっこう評判が悪いんだけど、読んでみてなるほどね~という感じ。この本では軍拡とかについても触れていて、イデオロギーに触れる話題はその時点で半分の読者を失うことになるけど、だからといって売り上げのためにタブーにするのがいい事だとは思わないしこれはこれでいいのではないか。


それはともかく僕はこの本をとても面白く読めた。面白いなって思った箇所はいくつもあるんだけど、ワークライフバランス批判が特に好きだ。


近頃は労働時間を減らして私生活の時間とバランスを取ろうという世論が大きくなってきてるんだけど、落合さんはそれじゃダメだよと言う。日本社会が欧州化する前の江戸時代までは、日本人は生活と仕事との境界が曖昧でもっとだらだらと働いていたというのだ。そしてそれこそが日本人のメンタリティに合っている働き方であり、逆に始業終業時間をきっかり決めたってストレスは減らないのだと。


僕はこの考え方にとても賛成する。以前、労働時間減らせという世論が大きくなってた時に↓のような記事を書いたのだけど、僕たちが改善すべきなのは労働時間ではなくストレスなのだという意識は昔からある。

fujiriko59.hatenablog.com


ここだけの話、僕はもう8年間くらい目覚まし時計を使わない生活を送っている。仕事の始業時間も就業時間もめちゃくちゃだし、仕事中にSNSやネットサーフィンをがんがんするわでかなりだらだらやっている。そのかわり、暇な時には休日でも仕事をする。


僕はそんなゆるい働き方が、少なくとも自分にとっては合ってると思ってるし、落合さんの言ってる事はとても理解出来るのだ。労働時間を減らすよりも、だらだらと働けるようになると良いと思うな。



それ以外には、アートを教育に取り入れようという話はすごく良いと思った。アート作品の文脈を勉強することで複雑さを学習出来るとのことだ。


あと僕は思ってるんだけど、アートはこの21世紀ではとても重要なものになるのかもしれない。20世紀の間、人類はテクスト分析的に人類とか社会とか生き方とか様々な物事を考えてきた。そして21世紀はアート視点で世の中を考えることになるのかもしれないという予感がある。だからアートを学習するのは重要な事かもしれない。


まあ、そんな感じで僕は「ワークライフバランスとかまじダメ」と「アートだ!」というところが一番心に残ったかな。他にも複数のコミュニティに所属して移動し続けようとかいい話は多い。「ええ!?」って思うようなラジカルな感じなのもあって面白いので、イデオロギーに触れるところとかは読み飛ばしたりとかしながらでも読んでみると面白いのではないかと思う。