【感想】無職転生 / 理不尽な孫の手
知人に薦められて、近々アニメ化もするとのことで無職転生を読んだ。
- 作者: 理不尽な孫の手
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / メディアファクトリー
- 発売日: 2014/04/24
- メディア: Kindle版
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「小説になろう」という小説投稿サイトで昔から根強い人気を誇っている作品らしい。以下で無料で全編読める。
あらすじ
34歳職歴無し住所不定無職童貞のニートは、ある日家を追い出され、人生を後悔している間にトラックに轢かれて死んでしまう。目覚めた時、彼は赤ん坊になっていた。どうやら異世界に転生したらしい。
彼は誓う、今度こそ本気だして後悔しない人生を送ると。
全体のプロットとしてはドラゴンクエスト5(ビアンカとかのやつ)が連想される。物語が大きく分けて少年時代と青年時代の2部構成になっているところや、両親のことや結婚出産などのイベントが大きな比重を持っているところなどだ。
少年時代編の物語はいわゆる「なろう系小説」といえる。魔物がたくさんいる世界を冒険し、転生前の記憶や経験、そして圧倒的な魔法の才能を駆使して様々な困難を乗り越えていく物語だ。この時点でもたくさんの魅力的なキャラクターが登場して広大な世界を冒険する話でとても面白いのだが、見方を変えればライトノベルにおけるベタといえるようなストーリーともいえる。
そして無職転生の真骨頂は青年時代編から始まる。
この物語のユニークさを一言でいうと主人公が「大きな物語」を引き受けていないところだろう。主人公自身は元の世界に帰りたくもないし、強大な敵を倒して世界平和を成し遂げるとかの目標があるわけでもない。ただただ個人的な欲望に従って生活している。
主人公は日々のお金を稼ぐために冒険する。そのうち推薦された魔法学校にも入学してスクールライフを送る。学園仲間と商売したりもしてみる。そのうちに恋愛とかも始まって家族も出来る。そんな中で友達や家族にふりかかる困難を場当たり的に解決していく。そうこうしているうちに話が大きくなっていって・・・、という感じだ。
この物語の中心的話題の1つが家族だ。青年時代編は家族をどんどん増やしていく物語とも言える。無職転生の最大の人気の理由が「幸せそうな家族像」を描いているところだと思う。もちろんその家族は主人公以外ほぼ(萌え)女性とかいう感じでコンテンツ化されてたりもするんだけど、むしろそれによって家族っていいものなのかもしれないなという気にもさせてくれる物語だ。
特に今は家族や結婚がネガティブに語られる時代だから、そんな気分の転換にはとてもいいのではないだろうか。
いやーしかしこれは長かった。280万文字、単行本にして20巻以上だろうか。一気に読むのはけっこう大変だったけど、とても面白かったので読んだ良かった。サイトで読めばタダですよタダ。