【感想】看護師という生き方 / 近藤仁美

看護の現場で35年以上働いてきたベテラン看護師の方が書く看護師という生き方。

看護師という生き方 (イースト新書Q)

看護師という生き方 (イースト新書Q)


僕は基本的に病院が苦手なので健康診断の時くらいしか行くことないのだけど、看護師の人と話たりすることもあったりするのでどんな職業なんだろうかと気になっていて、本屋で目立つように並べられていたこの本を読んでみた。


この本は基本的に看護学校入学から現在までの著者の経験を時系列で追いながら、看護師としてのそれぞれのステージに存在する問題や楽しさの考察を交えて進んでいく。ターゲットとしては看護師を目指す若者に向けた本だと思うが、興味本位で読んでみても面白い。また、看護師というと患者さんの死と立ち会うので局面ではキツいこともあったと思うけど、この本は重くなりすぎないように書かれていて、看護師って楽しそうかも?と思わせる内容になっている。


看護師というと日勤と夜勤との交代制(二交代、三交代)だけど、日勤と夜勤のだいたいのタイムスケジュールとかも載せられていて面白い。スケジュール的には日勤の方が忙しそうだが、夜勤は緊急の事態が起こりやすく看護師のストレスも高いようだ。


看護師は医療の知識や技術、正確さがベースとして求められる上で、病院というちょっと特殊な空間内で患者さんや家族との円滑なコミュニケーションが求められる。さらにその上で人の死や誕生が日常の中にある。なかなか大変な職業だ。


看護の学生は、病院実習を開始する前に戴帽式というのをやるらしい。

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戴帽式では、学生ひとりひとりにナースキャップと蝋燭を与え、蝋燭に火を灯してナイチンゲール誓詞を朗読し、これから看護に携わっていく者としての覚悟を自覚する。看護学校では毎年そういう儀式が行われているらしい。やはり少し特別な職業だし、彼等がどういう風に生きているのかを少しでも知れてよかった。



それにしても、私は~という職業を何十年もやってきたという体験談は面白い。世の中には色々な職業があるから、いろいろな職業でも読んでみたい。村上春樹アンダーグラウンドは、地下鉄サリン事件の日に東京で地下鉄に乗っていた様々な職業の人のインタビューが出てきて、どういう生活を送っていたらあの日事件に遭遇したのかが語られている。アンダーグラウンドはそういう面でも面白かったのだけど、そういう感じの本はあるだろうか。

アンダーグラウンド (講談社文庫)

アンダーグラウンド (講談社文庫)