「響け!ユーフォニアム」は原作も面白い

響けユーフォニアムの2年生編が発売されたので、読んでみたのですがこれがどうにもこうにも面白くて徹夜で読んでしまいました。勢いで感想を書いていこう。


響けユーフォニアムというと京都アニメーションが手掛けたアニメ版の方が有名だと思います。いまは劇場版も公開中ですね。

anime-eupho.com

僕もこれはアニメで始めてみたのですがすっかりハマってしまいました。
アニメ版は本当によく出来ていて、演奏シーンも細部まで描かれていてすごい迫力だし、終盤の久美子と明日香先輩の掛け合いもまさに迫真の演技という感じで、なにもかもが良かった。黒沢ともよさんは本当に久美子を演じるのが上手いですね。


それでそこから原作を読み始めたのですが、原作もすごく面白いのですよね。それもアニメ版とはちょっと違った面白さなんです。

アニメ版と原作との一番の違いは、なんといっても物語を語る視点です。

アニメ版でも基本的には久美子の語りとともに進行していくので久美子の自己物語世界的なのですが、けっこうな頻度で部長と明日香だけの会話のシーンなどが出てきたりして、吹奏楽部全体を俯瞰する視点を多くとっています。そのため、作品を通じて吹奏楽部全体で吹奏楽コンクールに挑んでいくという、スポ根的な要素が大きめに語られています。

一方で、原作では徹底して久美子の視点を通して物語が描かれます。そのため、アニメ版が吹奏楽部全体の成長を描いていたのに比べると、久美子の視界に日常的に映る人間ドラマがより重点的に描かれています。


響けユーフォニアム原作の真骨頂はまさにこの人間ドラマで、ほんとよく描かれています。吹奏楽部の活動を通じて久美子のもとにつぎつぎと色々なトラブルが舞い込んできて、それらを解決していくというのが基本的なプロットなのですが、1つ1つの話が本当によく練られていて、どれもなるほどっと思う決着を迎えます。


特にすごいなと思うのは、読んでる時はその物語の結末を予想しながら読み進めていくわけなのですが、どれもこれも予想していたものの斜め上の「なるほどそうなるのか!」というところに着地していくことです。

そのため、最後らへんは読んでいて物語が混沌としてきてどう収集するんだこれっていう感じの展開になっても、この作者なんだから気持ちいい結末が待っているに違いないという妙な安心感を感じながら読んでるという不思議な感覚になりました。この世界にはお話が複雑になりすぎてぐちゃぐちゃになってしまう物語はけっこうありますが、響けユーフォニアムはどんなにお話が複雑になっても、ロジカルに話の筋が通っていて、それでいて心を揺さぶられるような結末が用意されているのが、本当にすごいですね。


特に今回の2年生編は前情報が全くない状態で読むことが出来たので、作者の武田綾乃さんまじすごいなとより強く感じました。

1年生編は久美子と明日香の物語がメインでしたが、2年生編はみぞれと希美の物語がメインになっています。この2人のお話は、アニメ版ではぼかされていましたが、原作1年生編ではなかなか残酷な終わり方になっていたため、それを回収した感じですね。いやーほんと良かったです。オーボエソロのシーンは、文字に書き起こされた音を聴いて鳥肌立つというなかなか得難い経験をしました。


まあまだまだ書きたいところありますが、とりあえずこの辺りで・・・。まああとあれですね、僕は単に主人公の黄前久美子が好きです。たぶん声優の黒沢ともよさんの演技とセットで好きなんだと思うんですけど、久美子いいキャラしてるわぁ。