社会

心理的安全性の混乱についての所感

心理的安全性という概念が混乱し続けているという記事をみた。q.livesense.co.jp 超ざっくり書くと以下のような内容だ。 「心理的安全性のある職場 = 怒られない職場」というのは誤解である 「心理的安全性のある職場 = 対人リスクを取れる職場」が正しい 現…

脱占いの世界とポリコレ

占いというものがある。これは非常に歴史の深い人の営みで多くの人生を導いてきた。しかし科学技術が成熟した現代社会では、「占い」というものはすこぶる評判が悪い。今の世界から見ると、占いというのは科学的根拠のない適当なことを言って人々を惑わすも…

生産性の向上

生産性の向上にはざっくり2つの側面がある。農業や工業など作った分だけ売れる目処がある産業の場合、生産性を向上することで売り上げが増加する。一方で、情報産業やサービス業などは最終的には市民の時間という有限リソースを奪い合う形になるため売上に…

理性社会の中心に存在する非理性

リベラルは、人間社会というものを理性で制御することで諸々の問題が解決可能であると考える。しかしこの社会の中心には有性生殖(性愛)という非理性が存在している。この非理性は絶対的なものであり、これが機能しないと社会を存続することが出来ない。 社…

生の苦しみとは「現実」の問題ではなく「理想」の問題

反出生主義の人が目立ってきたというのは、この世界が苦しみに感じている人が増えているということ。苦しみとは理想と現実の剥離から生まれる。ここで一般的に問題視されるのは「現実」の方なのだけど、本当に問題なのは多くの場合「理想」の方なのではない…

新型コロナウイルスについての所感 3

新コロが流行してから1年が経ったところで、状況としては悪化の一途だろうか。基本的に当初から言われていたことから大きな変わりはなく、感染者数のベースラインが徐々に増えている。 新コロの複雑なところは非対称性にある。高齢者や循環器系の疾患を持っ…

武装する国民

ミャンマーが大変なことになっている。news.yahoo.co.jp また、ウイグル地区では深刻な人権侵害が行われている可能性が高いという話もある。これらは比較的近隣諸国の出来事である。 それにしても、これらの強大な権力の前になすすべがない状態をみていると…

不買運動について

ユーチューブを観ていたらこんな動画がレコメンドされてきて、なんとなく観ていた。www.youtube.com このスタジオのコメンテーターたちは「ファミマのお母さん食堂問題の不買運動」には賛成だが「三浦瑠璃出演問題のアメプラ解約運動」には反対だという。そ…

なんとなく相手の気分が分かるということ

特にアメリカの混乱を見ていると、けっこう本格的に民主主義的なものがまずいことになってるんじゃないかと思う。SNSが普及してまだたったの10年。それまで物理的な距離が守ってくれていたものが崩れているように感じる。 以下の記事で、トッドが民主主義の…

ツイッターを離れる

最近ツイッターを辞めた方がいいのではないかと思って、少し距離を置くようになった。 ツイッターは10年来使ってきていて、2010年代は僕の生活の1つの中心であった。まあその中で色々と問題も見えてきていた。そういえば2017年ころにはSNSヤバイという曲を…

誹謗中傷をやめるというのは

テラハの出演者が亡くなったというニュースがあり、おそらく誹謗中傷を受けたことを原因とする自殺だろうとして広がっている。news.yahoo.co.jp これをうけて誹謗中傷なんてやめようという言説が有名人を中心にして広がっている。これで誹謗中傷がなくなるの…

ウェブはバカと暇人のもの

今読みたい古典。ウェブはバカと暇人のもの~現場からのネット敗北宣言~ (光文社新書)作者:中川 淳一郎発売日: 2013/12/13メディア: Kindle版 この本が出版されて以降の世界、「炎上」など、ネットにいる暇人が大挙する事でリアル社会に与える悪影響はここ1…

新型コロナウイルスについての所感3

つらつらと。 新規感染者数とかについて自粛の効果のおかげか新型コロナウイルスは感染者数の爆発的増加には至っていない。東京都は相変わらず高い陽性率を保っているが、お近くの埼玉県では効果があがっていて特に発症日ベースで見ると感染者数の増加は明ら…

新型コロナウイルスについての所感2

世界は新型コロナウイルス一色な感じになっている。 新コロちゃんとは長い付き合いになるかもしれない。家の外にあるものなにもかもを危険とするのではなく、何をすると危険なのかを整理して、持続可能なライフスタイルにしていくのがいい。数が足りていない…

監獄の誕生

監獄の誕生(監視と処罰)という本がある。人文系の人には有名な本なのだろうけど、20世紀を代表する哲学書のようだ。監獄の誕生 ― 監視と処罰作者:ミシェル・フーコー発売日: 1977/09/22メディア: 単行本 18世紀から19世紀にかけて、ヨーロッパでパノプティ…

香川県のネット・ゲーム依存症対策条例について

どうも本当に成立してしまうような流れになっているようだ。headlines.yahoo.co.jp 正直なところ、ゲームをやるやらないはどっちでもいい話だろう。ゲームをたくさんやった人にはその人なりの人生があり、ゲームをやらなかった人にはその人なりの人生がある…

新型コロナウイルス所感

時は西暦2020年春、新型コロナウイルスCOVID-19が話題だ。ウイルスに関連する情報もなかなか錯綜していて、大したことないという向きもあれば、まじでやばいという向きもある。 簡単にまとめると以下のような感じだろうか。楽観的な見方 東京ではそこまで感…

コミュニティの時代

こんな増田がいた。anond.hatelabo.jp ある作品及び同人界隈のファンだったが、その界隈のノリにうんざりして、作品そのものも見るのも嫌になったという話。 以前もそれらしいことを書いたけれど、SNSがあるので今はおそらく何をやってもコミュニティがつい…

連帯の強さと、弱い連帯のオルタナティブ

こちらの記事、最近僕も同じことを考えてた。p-shirokuma.hatenadiary.com SNS上でオタクコミュニティが作られて、アニメオタクになるのとオタクコミュニティに入るのとがイコールになりつつある昨今。かつてコミュニティに馴染めない痛い人の受け皿となって…

インターネットとナショナリズム

インターネットにより社会の細分化と人々の分断が進むと、全体をまとめるものが求められるようになる。それがナショナリズムであり、否定神学的連帯であり、トランプであり反安倍でありN国党である。基本的には友と敵との線引きという発想で、全体をまとめる…

昔のインターネットはよかった?/誤配のあるコミュニティ

昔のインターネットはよかったというのはSNSなどで定期的に見かける話題だ。僕もゼロ年代好きだったから、もちろんその感覚がある。 しかしその理由になると途端によく分からない感じになる。もっと和気あいあいとしてみんな優しかった、という話も当時を美…

吉本興業のやつ

一応両者の会見は見たが。うーん。世間では吉本がひどいという感じになっているけど、吉本側の会見も素直に聞くと、まじでどうでもいいことで大騒ぎしてるのではないかとしか思えない内容になってくる。 両者の会見の内容を素直に聞いて要約すると、以下の三…

選挙に行こうと、言いすぎてはいけない

PDCAまわしていこ選挙のことで彼女と喧嘩までしたんだけどな、どこの政党を支持するとかって話じゃないんですわ。「わからないものはわからない」って言われたんです。学校で政治や選挙のことなんか教えられてないから、選挙に行けとか言われると上から目線…

どう振る舞うか?

京アニの件で、SNS上で各人がどのように振る舞うべきかに焦点が当たっているのは、今までにない現象だと思う。 いろいろとリツイートなどをして言及し続けている人もいるが、一方で普段どおりに何事もなかったかのように振る舞うべきだという意見も大きい。…

無差別殺人

無差別殺人が起こると様々な原因の憶測が飛び交うが、根本的な原因は、人間社会を構成する我々だれもが殺人事件を起こす能力を持っているということだろう。落ち着いて考えるとなかなか怖い話ではあるが、無差別かつ自己犠牲前提であれば10人程度殺傷する能…

ひきこもりと殺人犯とは全くの別物である

まあ、こんなことを書くこともはばかれることではあるのだけれど。 先日の川崎の事件が引き起こした社会の感情のうねりは巨大だ。被害にあった児童や親御さんの想いを想像するといたたまれない事件だし、感情的に揺さぶられるのはとてもわかる。その結果起き…

多様性 / 共生 の構築

多様性が大切という文脈においては、佐々木俊尚さんが言ってるこの話が主流の考え方だろう。多様性とは、自分にとっては不快で嫌いなものであっても許容すること。 https://t.co/a11OibYx4i— 佐々木俊尚 (@sasakitoshinao) February 4, 2019 「多様性とは、…

「老害」について

「老害」というのはSNSの台頭と共に非常によく聴くようになった言葉。年配者が若者に意見をすると「老害」といってウザがられる。あるいは最近では、高齢者が子供を交通事故で死なせてしまうのがどうしても許せず、高齢者全員から免許をはく奪するべきという…

自己啓発の問題点と小さな失敗について

ここ数年、SNSはすっかり自己啓発の場になったように思う。こんまりは大活躍だし、キュレーターや、ホリエモンやひろゆきなども自己啓発的な発信がずいぶん増えた。 自己啓発に対しては賛否両論あるが、自己啓発を支持する人にはある基本的な価値観があると…

読解力と多様性

一般的に非寛容は相手視点からの想像力の不足が原因の1つであるといわれている。 ところで想像力とはなんだろう。相手の気持ちを想像するということ。思い返してみると、これは学生時代に国語のテストに出てきた「Aくんが~という行動をしました。なぜAくん…