新型コロナウイルスについての所感 3

新コロが流行してから1年が経ったところで、状況としては悪化の一途だろうか。基本的に当初から言われていたことから大きな変わりはなく、感染者数のベースラインが徐々に増えている。


新コロの複雑なところは非対称性にある。高齢者や循環器系の疾患を持っている人にとっては非常に危険なウイルスである。感染すると重症化して死に至る可能性が低くはない。一方で、そうではない人たちにとってはそのようなリスクは格段に下がる。


この複雑さのため進路を科学的に決断することが出来ず、僕たちには選択肢が残ったままになっている。それは低リスクな人達に普通に生活させて日常を取り戻すこと。または、全員が高リスクな人達の基準に合わせて安全を最優先して暮らすこと。この2つの選択肢はどちらも前例がなくその先に何が待っているのかが不確実なので正解がない。


今は非常に中途半端な状態で各人の判断でバラバラな行動をしている。政治権力を強化してこの選択肢の答えを政治が決めて国民を従わせようという動きも一部では待望されているが、僕としてはこの中途半端な状態がいいのではないかと思う。全員が正解ではないが、全員が間違ってるわけでもない。それが種の生存戦略としては最善だと思える。


いずれにしてもはっきりしているのは、高リスクの人にとっては非常に危険なウイルスだということだ。ここだけは本当に注意した方がよくて、感染すると死ぬ可能性が低くはない。


意外と盲点なのは、友達や同僚が高リスクなのかどうかというのは分からないことだ。普段持病の話なんてしないからね。だから結局のところ、高リスクの人は自分で防ぐのが重要だ。日常を捨てなければならないというのもキツイものなのだけれど、とりあえずワクチン接種するまでは注意するにこしたことはない。


あと低リスクの人が亡くなるパターンもある。特に初期の武漢の医療現場では若くて健康な人が次々に亡くなっている。コロナ対応下での睡眠不足問題もありそうだが、初期曝露量の大小の要因はありえる。低リスクの人は飛沫感染程度ではリスクは低いが、免疫がない状態でそれ以上の大量のウイルスに晒されると危険だと思われる。


まあそうは言っても、低リスクの人はあまり気にしすぎるのも良くないと思う。大人数で会食は避けた方がいいけど、仲の良い人と2人3人で食事に行くくらいはいいという割り切りも生きていくためには必要だろう。もちろんそういうものが必要じゃない人はいかなければいいし。


ワクチン。これもまた大変なことで、ワクチンを恐れている奴は科学リテラシーのないバカみたいな話が溢れている。しかし実際に摂取中断する国が相次いでいるのだから、急ピッチで作られた全く新しい技術であるこのmRNAワクチンを恐れるのは真っ当な感覚だったとも言える。一方で、ワクチンを接種すると5年以内に死ぬので摂取するやつはバカみたいな話もある。大変なことである。


とにかく今回のような事態に陥ると自分の中の道徳心が大きくなり、他人をコントロールしたい欲が有頂天になる。重要なのは自身の中にあふれ出る道徳心に打ち勝つことである。